経済とイノベーション

この記事はTech KAYAC Advent Calendar 2017の7日目の記事です。hashtがお送りさせていただきます。


お金、みんな好きですよね。成長、これも好きだと思います。

つまり、この二つが合わさった経済成長はみんな大好きということになります。

でもちょっと待ってください、「経済が成長する」というのは一体どういうことなのでしょうか。

同じ人数が同じだけ働いたとして、一体なにが変わっていくのでしょう。

その答えを知るべく、我々は古代ヨーロッパの村を訪れました。

ある村の話

その村には、大雑把に言って2人の住民がおりました。

住民はどちらも自分の土地でパンを作ったりワインを作ったりできましたが、片方のファウヌス(の技能や土地)は特にパンを作るのに向いており、一方のバックスはワインに向いていました。

1日の労働によって平均何日分のものが作れるかを表にすると、次の通りでありました。

住民 パンを作ったときの生産量 ワインを作ったときの生産量
ファウヌス 2 1
バックス 1 2

二人の仲が悪く、別々に生活していたとすると、日々食べていくには1日の労働で1日分のパンを作るしかありません。

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しかしそうするとファウヌスは1日の労働で1日分のパンを余らせていくわけですから、まあ2日に1日しか働かないのもいいですが、そこは仲直りをしてみましょう。

バックスに毎日1日分のパンを渡すと、彼は自分が食べる分のパンを作らなくてよくなるので、1日に2人・日分のワインが製造できます。

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これで二人ともが毎日パンとワインを享受できるようになりました。素晴らしいですね!

こうしてこの村に経済が生まれました。交換経済も立派な経済ですよね。

落とし穴

このまま豊かな毎日を送るかに思われた二人ですが、ある日転機が訪れます。

ファウヌスがワインに飽きたと言い出したのです。もはやパンとワインを1:1で交換するのは割に合わず、1:2でなければダメだと要求しました。

バックスがこの要求を呑んだとして、1日に生産するワイン全てを差し出さないと1日分のパンが手に入らないわけですから、結局は自分でパンを生産するのと変わりません。

そこでバックスは自分でパン生産を再開しようとしましたが、なんと小麦畑はすでに荒れ果てて、道具も使えなくなってしまっていました。

結局バックスは全面的にファウヌスに従い、毎日2日分のワインを供給し続ける宿命を背負ってしまったのです。

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イノベーション

生活の余裕を得たファウヌスは己の生産技術を磨き上げ、ついには新たな農法を発明して、1日の労働で何日分ものパンが生産できるようになりました。

ファウヌスは家庭を持ち、領地を広げ、やがては大貴族となりました。めでたしめでたし。

いやめでたくはないですね。

なんだか暗い話になってしまいましたが、搾取をしようという話ではなくて、余裕があれば試行錯誤ができて、そこから時として技術革新=イノベーションが生まれて、大きな成長に繋がるということです。 (中世ヨーロッパのキリスト教会は中世暗黒時代の元凶として扱われがちですが、実はいろいろなイノベーションが修道院から起こっているそうです)

成長には、試行錯誤のための余暇が必要なのです。 めいっぱい余暇を追求しましょう。

いつか圧倒的イノベーションによって、余暇の合間に労働するくらいの社会が来るといいですね。

この番組は面白法人カヤックがお送りしています

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