こんにちは!カヤック技術部の千葉です。
本記事は、面白法人グループ Advent Calendar 2025 の6日目の記事です。
実は 12/7(日)に湘南国際マラソンに出走する直前ということもあり、気持ちは落ち着きませんが、記事を書きます。 湘南国際マラソンでは、今年もゴール付近に42.195km採用のブースを出展しています。完走したランナーの皆様、ぜひブースに立ち寄ってみてください!
さて今回は、カジュアルチームで導入検証している「オーディオ広告」の紹介と、その導入効果について書いていきたいと思います。
オーディオ広告
オーディオ広告とは、Spotifyやradikoを始めとする、ポッドキャスト等の音声メディア配信サービスでよく流れている、音声のみの広告です。この市場は拡大傾向にあり、US(アメリカ)では市場規模が1兆円を突破した*1という報告もあります。 ハイパーカジュアルゲームでは、通常、インタースティシャル広告やリワード広告がゲームプレイを中断して表示されます。しかしオーディオ広告は、ゲームのプレイ中に音声のみで配信されるため、ユーザーのプレイを中断することがありません。 また、オーディオ広告の配信がUSやUKといった地域で主流であり、ハイパーカジュアルゲームの収益の大部分を占めるのがUSであることから、「導入すれば収益向上に繋がるのではないか?」というのが今回の検証の狙いです。
が、実はこの検証はマーケティング担当からの「オーディオ広告を導入すると収益が増えるらしいので試して欲しい」という依頼でスタートしました。 正直なところ、当時の私の本音は、「えーーー、ユーザーは絶対不快に感じるだろうし、プレイ時間が減って、かえって収益が減るんじゃないか?」と、疑念を抱きながら検証を開始しました。。。
導入検証
検証に用いたゲームタイトルは『Eating Simulator』です。このゲームは、物を掴む操作とクリア時のみSE(効果音)が流れるという、全体的に静かな作りとなっており、オーディオ広告との相性が良いと判断しました。 オーディオ広告の導入には、Odeeo社のサービスを利用しています。オーディオ広告を再生している時、広告に関する情報が画面上に表示されます。今回はこれをアイコンの形状で配置しました。Odeeo社のサービスでは、この他にもバナータイプやリワードタイプなど、様々な広告設定が可能です。

テスト前に、Odeeo社の担当者から「インタースティシャル広告を1〜2回再生してからオーディオ広告を1回流す」というアドバイスをいただきました。 このアドバイスに基づき、以下の条件でテストを行い、最も収益性の高かった条件を採用することにしました。
- インタースティシャル広告1回表示後、オーディオ広告を流す
- インタースティシャル広告2回表示後、オーディオ広告を流す
- インタースティシャル広告3回表示後、オーディオ広告を流す
- オーディオ広告を流さない(コントロールグループ)
検証結果
各条件の優劣は、以下の要素に基づいて算出した独自の収益スコアを基準に決定しました。このスコアは、ユーザーごとの以下の表示・再生回数に、それぞれの平均収益単価を掛けて合算したものです。
- インタースティシャル広告の表示回数
- バナー広告の表示回数
- オーディオ広告の再生回数
そして、オーディオ広告を流さない群(コントロールグループ)と比較した結果は、以下のとおりとなりました。
| 配信条件 | 収益スコアの変化 (対オーディオ広告非配信群) |
|---|---|
| インタースティシャル広告1回表示ごと | 1.5% 減少 |
| インタースティシャル広告2回表示ごと | 5.7% 減少 |
| インタースティシャル広告3回表示ごと | 5.7% 減少 |
結果として、オーディオ広告を流さない群が、最も収益性が高いという結論になりました…
敗因分析
データを詳細に確認したところ、オーディオ広告再生群に、オーディオ広告が実際に再生されていないユーザーのデータが含まれていることが判明しました。
オーディオ広告は、以下の環境や設定にあるユーザーには再生されない(画面上の広告アイコンも表示されない)仕様となっています。
- 配信対象外の国
- 通信環境が悪く、広告をロードできない
- デバイスのサイレントモード設定
- 音量がゼロ(0)の状態
このままでは、再生されていないユーザーと再生したユーザーのデータが混在しているため、純粋な効果測定ができません。
再検証結果
ユーザー環境を絞り込み、純粋な効果測定を目的として再度検証を行った結果、オーディオ広告を流さない群(コントロールグループ)と比較した収益スコアの変化は、以下のとおりとなりました。
| 配信条件 | 収益スコアの変化 (対オーディオ広告非配信群) |
|---|---|
| インタースティシャル広告1回表示ごと | 4.3% 上昇 |
| インタースティシャル広告2回表示ごと | 3.4% 上昇 |
| インタースティシャル広告3回表示ごと | 0.7% 減少 |
結果として、インタースティシャル広告1回表示ごとにオーディオ広告を流す群が、最も収益性が高いという結論になりました。また、オーディオ広告以外の収益や、ユーザーのレベル到達率といったエンゲージメント指標には悪影響が見られませんでした。
つまり、今回の検証では、既存の収益やプレイ体験を損なうことなく、オーディオ広告による純粋な追加収益を得られるという結果になりました。
今後の展開と残された課題
オーディオ広告の導入を他のタイトルへ展開を進めていますが、特にランゲーム系など、オーディオ広告との相性が悪そうな複数のタイトルでは、必ずしも良い結果は得られませんでした。
この要因については現在も分析中であり、正確な結論には至っていませんが、効果が出にくいタイトルには以下のような特徴があるという仮説を立てています。
- インタースティシャル広告の間隔が短い
- 1ステージをクリアするまでの時間が短い
- ゲーム内の音(SE)による、プレイの気持ちよさ、触り心地への影響が大きいゲーム
これらの仮説の検証も含め、プラットフォーム(iOS/Androidなど)によっても結果が変わるため、どのタイトルに導入する場合でも、条件の選定から細かくテストを実施する必要があります。
現在、Audiomob社のオーディオ広告の導入検証も並行して進めています。 今後は、Odeeo社とAudiomob社、それぞれのベンダーが持つ特徴をうまく活用し、さらに収益を伸ばせないかを考えています。
最後に
今回は、オーディオ広告の紹介と、ハイパーカジュアルゲームへの導入検証の結果についてご紹介しました。 オーディオ広告は、ゲームのプレイ中に音声のみで配信されるため、ユーザーのプレイを中断することがありません。
最後に、カヤックでは、オーディオ広告の可能性を探りたい方、またハイパーカジュアルゲームのさらなる収益化に情熱を持つ方も募集しています
明日は、id:simsimworld さんの記事です!お楽しみに。