絵師、憧れますよね。
私は普段主にunityの実装やらテクニカルディレクションやらの仕事をしていますが、幼き頃は絵描きになりたいとか漫画家になりたいとか思っちゃってるような典型的なお絵描き少年でして、今でも時折思い出したように絵の練習をしたりするわけです。
さて、カヤックには、そんな絵描きワナビーから本職のグラフィッカーまで、スキルを問わず趣味のお絵描きを投稿してはいいねスタンプをつけるというclub_oekakiというSlackチャンネルがあります。
私も何か絵を作ったら投稿して自尊心を高めていたのですが、 ある日つくっていいとも運営の人からこんな募集が来ました。
小さい発表の機会があることはいいことですね。ということでこの募集に反応したところ依頼を受け、 最終的に出来上がったのが冒頭のgif画像です。 本記事では、この画像をどのように作ったのかを解説します。
イラスト作るのにCG使うことの民主化
近頃では、イラストを描くためのサポートとして3DCGを使うケースは当たり前になりつつあるように見えます。
例えば、クリスタではデッサン人形や背景素材として3DCGを使えるようになっています。
また、Blenderで作った3DCGをイラストに活用するためのノウハウも色々と情報が見つかります。
有名なアーティスト、dedouseさんはBlenderのGreasePencil機能をフル活用して、立体感のある手描きアニメーションを作っています。
Little animation i made for @larkins, full song and animation on youtube ☀️https://t.co/3PWIocMrJ8
— Dedouze 🧢 Andry (@dedouze_) 2020年8月22日
✏️ Made with #blender3d #greasepencil pic.twitter.com/Q0gPTcLTTS
Sneak peek! Another animation project on #blender3d #greasepencil. Coming soon! pic.twitter.com/WA1qDxLNI1
— Dedouze 🧢 Andry (@dedouze_) 2021年11月5日
私の場合、使い慣れていることと、「Unityで作っておけばそのままゲームに転用できるんじゃないか」という短絡的な打算があり「Unityのレンダリングでイラスト全部を作る」という方法を取ることになりますが、純粋にイラストのみを目的にするならBlenderで頑張る方がいいかもしれませんね。
北山みなみ氏やダイスケリチャード氏のような絵が大好きなんだ
土産屋の少女から聞いた海電車ひねもす待てども来ず星の夜
— パラレル百景 (@parallel100) 2021年8月5日
笹 公人 × 北村みなみ 『#パラレル百景』Re⏪: 019 pic.twitter.com/pv6imr31ig
オーバー人 pic.twitter.com/UJFBCebHNv
— ダイスケリチャード (@daisukerichard) 2021年7月18日
北山みなみ氏とダイスケリチャード氏、お二人の作風に共通するところとして、「フラット塗り」「シンプルかつ整理された画面構成」「抑制された色数と整えられた色調」などが挙げられると思いますが、これが個人的にド刺さるのです。
こういう絵が好きなんだよなぁ〜〜!
ということで私は普段からこういう作風が作れないか、とキャラクターモデルを作ったりUnityで絵作り実験をしていました。
前にAmplify Shader Editorで作ってた、影にテクスチャを当てられるトゥーンシェーダーのURP版を作った。URPだとOutlineとCustom Lightingがなくなってたのでその対応が必要だった #madewithunity #NPR #gamedev pic.twitter.com/kiMXp7o2cr
— Haramakoto (@xxxxMakoto) 2021年9月15日
さあ作るぞ
改めて、いいとも運営氏の依頼を確認してみましょう。 このテーマで、に予め準備しあたアセットで何か作るとしたら・・
クリスマスツリー型ロケットを作ってる女の子だ!!
きっとこんな感じだ!
これをつくる材料としては・・
- 女の子:ある
- イラストを表現するシェーダー:ある
- ツリー型ロケット:ない
- ロケットの発射台:ない
- 電動ドリル:ない
師走も押し迫ってる今、とにかく時間がない! というわけでロケットの発射台はこちらのモデルを拝借。
sketchfab.com電動ドリルはこのアセットを購入しました。
ツリー型ロケット・・ そんなモデルがあるわけはありません。 これは根性で自作です。
女の子のポーズを作って・・
イラストできた!
文字どうするの問題
「+「つくっていいとも!」「12月号」というテキスト」 これを忘れてました。 試行錯誤はありましたがそれは省略して、最終的に文字をキャラクターの奥に配置するかたちに。12月を「December」の文字で入れてますがほぼ隠れて見えませんが雰囲気重視でいいよねーということでそのままに。 文字の配置もPhotoshopなどは使わずに、Unityで配置することに。 これは何かこだわりがあるとかではなく、Photoshopに持っていくとキャラクターの背景抜いたりとかが面倒くさいけどUnityだとカメラ重ねるだけですぐに結果が出るからです。 フォントはこちらのフォントを購入しました
完成!
できました。 せっかくUnityで作っているので、アニメーションもつけてみました。
まとめ
さて、こうしてUnityでイラストを1作品作ってみたわけですが、 この記事を書く前に「Unity イラスト」とか「Unity 絵作り」で検索しても全然作例がひっかかってきませんでした。 あんまりこういうことをやっている人はいないのかもしれません。 しかし、最近Netflixで公開され話題になっているアーケイン。絵面は全然違うし引き合いに出すのもおこがましいくらいの大作ですが、「Non Photorealistic Renderlingの3Dで、できる限り手描きの一枚絵に近づよう」という方向性は一致しているのではないかと思います。現在世界中でアーケインが流行しているので、もしかしたらこういうCGルックのアプローチは今後増えるのかもしれません。
ところでみなさんアーケインはご覧になりましたか? 私の周りやTLではあんまりアーケインが話題にのぼってきません。 正直私自身も、ネトフリにリリースされた当初は「あーLoLやってないしな」「こういうアート重視っぽいキービジュアルのやつって、中身イマイチなこと多いしな」みたいな感じでスルーしていました。 しかし、カウボーイ・ビバップ実写を見終わった後、なんとなく見始めたらもう引き込まれること引き込まれること。コンセプトアートがそのまま動いているようなインパクトある映像が印象的ですが、それだけでなく映像・音の演出がとにかく細部まで作り込まれていて充実感がすごい。そして映像音響だけではなくストーリーも素晴らしい。複雑な人間関係とカタルシスあふれる劇展開に心が揺さぶられること間違いなしです。 アーケインはアニメーション映像の時代を1歩先に進めたような革命的な作品です。 みんな今すぐアーケイン見よう!