この記事は 面白法人グループ Advent Calendar 2022 の16日目の記事です
カヤックボンドでエンジニアをやっている有馬です。
皆さんはゲームの世界に入ってみたいと思ったことはないでしょうか。 プレイヤーがゲームの世界に入り込み、冒険を楽しむ「フルダイブVR」はゲーマーにとって長年の夢でしょう。
そこで本記事では、「フルダイブVR」の関連で注目されている 人間の思考だけで機械を動かす技術、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の紹介および、実際に脳波計を用いて脳波測定を行いました。
ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)とは?
ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)とは、脳波計を付けた人間の脳波を読み取り、その人の思考だけで機械を動かす技術のことです。
このBMIには大きく分けて2つあります。
- 手術を行い、脳波計を体内に埋め込む侵襲式
- 頭に脳波計を装着する非侵襲式
侵襲式とは
侵襲式とは、頭部の体内に脳波計を埋め込むことで高精度の脳波を記録する手法です。
- メリット:2.の非侵襲式と比較して、高精度の脳波を記録できる
- デメリット:頭に埋込み型デバイスを入れる必要があるため、手術が必要
侵襲式で有名な研究例としては、 イーロン・マスクが率いるニューラリンクが埋込み型デバイスを使用して、記憶障、脳卒中などの様々な神経疾患を解決するための研究があります。
非侵襲式とは
非侵襲式とは、脳波計を頭部に装着して脳波を記録する手法です。
- メリット:手術が不要
- デメリット:1.の侵襲式と比較して、記録する脳波の精度が悪い
代表的な研究例としては、 慶應義塾大学理工学部の牛場潤一氏が研究している脳波を用いてSecond Life内のアバター操作を行う研究があります。 internet.watch.impress.co.jp
脳波計を使って、脳波を見てみよう!
流石に手術が必要な侵襲式は難しいため、非侵襲式の脳波計を使用します。
本記事では、脳波計(EEG)の Emotiv Epoc +を使用します。
ヘッドセット、フェイルドパッドケース、フェイルドパッドを水和させるのに必要な生理食塩水、専用のケーブル、取扱説明書および専用のアプリが入ったCDの5つが付属しています。
フェイルドパッドケース内には計16個のフェイルドパッドが入っています。
このフェイルドパッドに生理食塩水を3~4滴ほど付けて、以下の脳波計の先端にある電極に取り付けることで計16個の脳波を記録できるようになります。
16個のフェイルドパッドを生理食塩水で濡らすのは結構手間で大変...
その後、脳波計とPCをBluetoothで接続し、専用のソフトで脳波を測定いたします。 以下が脳波測定時の動画になります。
何故か4つほど記録できない(生理食塩水が足りなかった??)や何もしなくても脳波が大きくブレるなど気になる点がありますが、 無事脳波を測定できました。
微弱な脳波を頭皮から測定する非侵襲式なので、瞬きをしたときの筋電も測定してしまうのがネックですねー。
取り付ける際に先端のフェイルドパッドが頭皮にしっかり着くように装着するのにも結構コツがいるので、結構苦労しました。
Emotiv Epoc +を使用した先行研究として脳波で車いすを動かす研究があります。 www.itmedia.co.jp
なので、脳波計をうまいこと使いこなしてコントローラーにしたかったです。。
しかし、アプリを経由しない未加工の脳波を測定するにはEmotiv Pro に課金必要なのと、基本的に機械学習の知識が必要になるので、挫折しました。。
終わりに
個人的に注目している研究のブレイン・マシン・インターフェースの紹介および、実際に脳波計を使った測定について記載させていただきました。
生理食塩水を付けて、16個つける手間は結構あるのでそこがどうにかできないかなーというのが正直なところです。
他の脳波計として Muse を持っているのですが、こちらは生理食塩水を使用せずにただ頭に取り付けるだけで脳波を測定できます。 ただ、生理食塩水を使わない脳波計だと脳波ノブレが結構あるんですよねー
あと、Emotiv Epoc +は 約20万円 ほどするので、脳波計のコストが高いうちはBMIが一般的になるのは難しそうです。