美少女になって勉強会を実施する方法

どうも、ねし部のねっしーです。Tech KAYAC Advent Calendar 2018 の6日目の記事を担当させていただきます。

私は企画部所属で実はエンジニアではないのですが、分析業務でSQLやGAS、Pythonを使ったりします。 そして今日はそれとはまったく関係のない話――普通のノートPCで美少女になって勉強会をする方法をお話したいと思います。

経緯

そもそもねし部とは事業部横断の分析チーム(メンバーは一人)であり、分析を通じて得た知見を他のチームでも役立てるように勉強会を実施しています。 勉強会自体は様々な会社で行われていることでしょう。適当なスペース(会議室等)を取って、適当にスライドを作って、適当に話をすれば良いのです(ここでの適当はrandamではなくproperの意)。 が、最近ではこの「適当さ」が怪しくなってきて……。 というのも、カヤックでは秋葉原に「カヤックアキバスタジオ」という拠点があり、私の勤務地は現在こちらになっています。

www.kayac.com

しかし、カヤック社員のほとんどは鎌倉オフィスにいるわけでして、ここで勉強会を開いても(もちろんリモートで繋ぎますが)勉強会会場にはほとんど人が集まりません。

そこで、ふと思うわけです。

自分の姿見えないんなら好き勝手やっても良くね?

というわけで美少女になろうと思いました。

心構え

「なぜ美少女に?」と思った方、考え方が間違っています。

「美少女になれる時代なのに美少女にならない理由はあるのか?」と問うべきです。

理由がないなら美少女になりましょう。

必要なもの

  • 美少女になる気持ち
  • 美少女アバター
  • 美少女アバターを動かす環境

美少女の気持ちになる

一番重要なことなので始めに書きます。

性別の如何に関わらず、我々は今から美少女になるのです。

実際に、気軽に美少女になれる時代がやってきましたが、あくまでなれるのは『外見』に過ぎません。『中身』はどうしても元の人間に準ずるものになってしまいます。

そして、動けば動くほど、中の人の人間性が出てきます。見えるところで言えば、声だったり、話し方だったり、一つ一つの仕草だったり。さらにはそれを媒体として性格や印象とったものが他人へと伝わります。

だからこそ、単に外見だけでなく、心の底から美少女にならなければなりません。

『美少女』と一言で言っても、想像するイメージは人それぞれでしょう。元気でいつもひたむきに頑張っている女の子だったり、無口でミステリアスな雰囲気を纏ったタイプだったり、セクシーで色っぽさがにじみ出るグラマラスな子だったり、ショートカットヘアーが似合うボーイッシュな子だったり、好きな人に素直になれないツンデレ系だったり、逆に愛が大きすぎて意中の相手以外のことが見えなくなる子だったり、曲がったことが嫌いな委員長気質だったり、どこか感性がズレている不思議ちゃんだったり、人にちょっかいを出すのが好きな小悪魔系だったり、耳がキュートなケモミミ少女だったり、人とのコミュニケーションが苦手な根暗系だったり、外面は良く見せているけど中身は腹黒少女だったり、いつもさり気なくリードして甘えさせてくれるお姉さん系だったり、いつも甘えたがりな妹系だったり、秘めたる想いは常にあるのにそれをなかなか言葉にできない恥ずかしがり屋だったり、気づいたら即行動して色々問題を引き起こすトラブルメーカーだったりetc...

美少女の形は多種多様に存在すると思います。美少女に正解などありません。自分が信じた美少女になるべきです。

しかし、美少女になることに限った話ではありませんが、人はいつだって理想の姿と現実とのギャップに苦しむものです。

例えば、外見とギャップのある自分の声を聞いて気持ち悪さを感じる人もいるかもしれません。中には他の人から「可愛くない」と指摘されることもあるでしょう。外見はなんとかできても、内面からも完全に美少女になるのは一朝一夕では厳しいものです。

ここで大切なのは、たとえ違和感があっても、たとえ理想の姿とはだいぶ離れていたとしても、美少女になろうとする気持ちを忘れないことです。できることなら「自分は美少女になるんだ」と言葉にしておきましょう。強く意識することで、漫画やアニメなどで美少女を見かけたとき、「どういった仕草や表情が美少女と感じるのか」を考えるようになり、やがては無意識でそれを真似するようになります。そして言葉は現実になります。

話は少し逸れますが、努力する姿は誰しも美しいですし、それに惹かれる人も少なくはありません。それを詰め込んだコンテンツが『アイドルもの』だと私は思っています。様々な作品はありますが、どれもがトップアイドルを目指し、日々努力を重ねて美しく輝く姿が描かれています。明確なヒール役がいる作品は別ですが、基本的に嫌いだとか憎たらしいだとかの負の感情を抱かせるような登場人物はいないと思います。ベクトルは違えど、夢に向かって汗水垂らして努力する姿はどんな形であれ美しいと思えるのです。

美少女になることは、どこかトップアイドルを目指すことに近いのかもしれません。一朝一夕にはトップアイドルにはなれません。物語で描かれないようなたくさんの努力も必要です。おそらく、途中でアイドルの道を降りていった人もたくさんいることでしょう。でも、最後まで諦めず、トップを目指して努力し続けることが、真のアイドルになるための必要条件なのではないでしょうか。

だからこそ、美少女になるときは「美少女になるぞ!」という強い意志を持って、美少女になりましょう。

美少女アバターを用意する

では、実践的な話に移りましょう。

オリジナルアバターにこだわらなければユニティちゃんアリシア・ソリッドを始め、フリーで利用できるアバターは様々あります。十分クオリティが高いのでこれを利用するのも一つの手です。 オリジナルアバターにこだわるのであれば、自分の手で作る必要があります。ゼロから作るのでしたら、例えばBlenderといったソフトを用いて

  • モデリング(美少女の形を作る)
  • テクスチャリング(絵で言うところの色塗り)
  • リギング(ボーン設定等、動かす仕組みを整える)

といった作業をこなせば美少女アバターは作れるわけですが、ぶっちゃけ難易度が高いのでオススメはしません。他のモデルとかを参考にすればモデリング自体はわりとできるのですが、テクスチャリングは普通の2Dでの絵の塗りがうまくないと平べったい印象になってしまいます。2Dの塗りの巧さは3Dモデルの出来に直結します。

f:id:nessie_sesein:20181204121749p:plain
VRoidでデフォルトのまま肌のテクスチャを表示すると陰などがしっかり描かれていることがわかります

そもそも、モデリング以前に「どんなアバターにするか?」というキャラクターデザインの問題もあるので、そこもゼロから作るのは素人には厳しいです。

しかし、昨今では美少女アバターを作るのに特化したソフト『Vカツ』『VRoid』『カスタムキャスト』があります。良い時代になりましたね。ただし、『Vカツ』と『カスタムキャスト』はバーチャルキャストでの使用が前提となっているので、今回の用途では若干不適切になります(詳しくは後述)。今回はVRMモデルを出力できて、外部アプリでも色々編集が施せる『VRoid』一択になります。

vroid.pixiv.net

詳しいVRoidの使い方は説明しませんが、体型とかはパラメータを調整して作成し、髪の毛等をお絵かき感覚で塗ってアバターを作るツールとなります。したがって、こちらも2Dでのお絵描きの心得がないと若干苦戦するかもしれませんが、リギング作業とかがまったく発生しないので、ゼロからアバター作成するよりは遥かに楽です。衣装も増えてきたのでオリジナリティは出しやすくなってきたと思います。現在では、VRoid用の服をBOOTHで提供されている方もいらっしゃるので、デザインや塗りが苦手な方でも気軽に着せ替えとかができるようになりつつあります。

f:id:nessie_sesein:20181204122624p:plain
BOOTHにある衣装の色相を変えるだけでも様々なバリエーションが作れる

上の画像の衣装は、nyasyamorina様のオフショルワンピースの色相を調整したものになります。

アップデート情報だったり、メイキングや素材情報もVRroid公式Twitterがまとめて発信してくださるので、自分のオリジナルの美少女アバターを作りたい方はチェックしておくことをオススメします。

アバターをどう動かすか?

さて、VRoidで作ったアバターはVRMファイルで出力されます。このVRMファイルを利用できる環境を構築する必要があります。

VRMは人形3Dアバターを扱うための新しい拡張子であり、ドワンゴが開発したこともあってバーチャルキャストでの使用が一般的な気がします。ヘッドマウントディスプレイとグラフィックボードを積んだPCがあれば簡単に誰でもバーチャルユーチューバーになれるわけです。いやー、良い時代になりましたね!

……いやいや、「勉強会やるためにVR機器を揃えるので予算ください」なんて要求は普通通らないでしょう。

そんなわけで今回はグラフィックボードを積んでいないノートPCだけでも美少女になれるような環境を準備する必要があります。

前提条件

  • スライドを使って勉強会を行う
  • 遠隔の人へはHangoutsで繋ぐ

ここまでが普通の勉強会です。今回はこれに加えて

  • ノートPCでもアバターを動かせる環境を用意する

という要素を加えます。

スペックがとりわけ高いわけではないため、ヘッドマウントディスプレイを利用するようなVR機器が使えません。グラフィックボードなしでも処理できる方法――今回はWebカメラを利用したアバター制御ができないかを検討しました。

基本的にVRMで何かしらのコンテンツを作るのはUnity上で行うことになります。Webカメラを使って3Dアバターを制御する方法はこちらとかを参考にすれば非エンジニアの私でも実装できました。 が、こういったVtuber的な用途のものはすでにアプリケーションができているものです。VRMファイルが使えるアプリケーションはドワンゴがこちらのページでまとめていますが、今回はこの中から『3tene』を使ってみました。

3tene.com

3teneをチョイスした理由はVRMファイルさえあればすぐにアバターを動かせるというのもありますが、個人的にはリップシンク(唇の動きの連動)が音声認識でできる点が大きかったです。映像認識の場合ですと、自分の唇の動きが小さいのでうまくアバターに反映されず、せっかく美少女になっても話している感じがしないのでこの要素は重要でした。 推奨環境に<グラフィックボード推奨>とありますが、ノートPCのオンボードでも若干重いですがなんとか動きます。

Hangoutsで配信するためにOBSを利用する

3teneはアバターを動かすソフトですので、これ単体では配信はできません(録画は可能ですが)。Youtubeやニコニコ生放送の配信ではOBSというソフトが有名です。

obsproject.com

しかし、今回はHangoutsでの配信という制約つきです。Hangoutsはあくまで会議のための通話ツールですのでVtuberを使った配信にまったく最適化はされていませんし、Hangoutsでの利用を想定した配信ソフトはありません(当たり前)。できることと言えば画面共有ぐらいです。 つまり、配信画面をノートPCのモニター上に表示できれば、Hangoutsでも美少女になって勉強会を実施可能ということになります。 そこで、配信用の画面を構成するためにOBSを利用します。実際に、以下のようにして配信画面を構成しました。

f:id:nessie_sesein:20181204165822p:plain
画面構成 in OBS
画面構成はシンプルで

  1. アバター
  2. スライド
  3. 背景

になります

3teneはデフォルトだと背景やUIの表示が見えてしまうので、3teneの「ソース」にある調整したいアイテムを右クリックして「フィルタ」を選択し、「クロマキー」と「クロック/パッド」を追加して背景色と余分なUIを削りましょう。 背景は適当な画像を持ってくればOKです。 あとは、このOBSの構成画面をフルスクリーンで表示できれば、Hangoutsでの配信が可能になります。残念ながら構成画面のみを完全にフルスクリーン表示させることは(おそらく)できませんが、ほぼフルスクリーンにすることは可能です。まず「表示」のタブから「ドック」を選んで「UIをロック」のチェックを外します。すると、下のUIが外れるようになります。これらを全部外した後に、「表示」から「全画面インターフェース」をクリック or F11を押せば、ほぼ、フルスクリーンにすることができます。上のタブが残ってしまいますが、勉強会するにあたってはそこまでの支障にはなりません。

あとは、この画面をHangoutsで共有すれば美少女になって勉強会を実施することができます!

ついでにOBSを利用すれば録画もできますので、何かと便利です。

課題

  • 手や腕が動かせない: カメラを使って動かせるのは顔になります。一応モーションを入れればキー操作等で身体を動かすことはできるのですが、スライドの文字とかを指して「この部分が~」とやるのはこの形式では難しいです。マウスを使ってカーソルで位置を伝えることはできるので、勉強会的には問題ありませんが、美少女の動き的にはなんとか解決したい課題ではあります。 もう少し現実的な話をすると、モーションよりは表情の制御を気軽にできると良いのかな、という感じはします。そもそも遠隔での会議では基本音声のみなので『感情』が非常に伝わりづらいという問題があります。これについて、3Dアバターを使って感情表現を簡単することができれば、情報の伝わり方も変わって来るように思います。

  • 若干重い: 慣れてしまえば問題ないのですが、Googleスライドをめくるとき、若干ラグがありました(これに関しては私がブラウザのタブを常に100個以上開いているのも問題ありそうですが)。このラグに気づくまでは反応していないと思って必要以上にページ送りをしてしまう、ということも。

  • 声が絶望的に汚い: 勉強会する上では問題ありませんし、のじゃロリおじさんという偉大な開拓者の方もいらっしゃるのでこういった形でも受け入れられつつある世の中ですが、美少女的には問題です。しかし、声はボイスチェンジャーでなんとかなる人とならない人がいるので、簡単に解決できるかどうかは怪しいです。

最後に

気がついたら単なるアプリ紹介の記事になっていましたが、さらなる拡張性とかを持たせるのであればUnityで色々実装する方が良いでしょう。ただ、勉強会といった簡易な使用用途であれば、色々比較してみましたが、やはり既存のアプリで十分だと思います。

多くの方は「いや、だから美少女になって勉強会開くことに何の意味があるんだよ?」と疑問に思っているかもしれませんが、美少女になるメリットは実はたくさんあります。何人かで集まって勉強会を定期的に開こうとしても、業務が忙しくなって一回不参加になると、そこからだんだん人が減っていってそのうち勉強会が形骸化していく……といった経験はわりと多くの人が経験しているのではないでしょうか?しかし、美少女がいれば人は美少女を拝みに行きます。さらに、別のアバターを使うこともできますので毎回違う美少女の姿になって勉強会を開くことだって可能です。すると「今日はどんな美少女がいるのかな?」と気になって勉強会に顔を出す人が増えていき、勉強会に活気が出てきます。

もちろん、美少女になること自体が楽しいですし、そのおかげで頻繁に勉強会を開催しようという気持ちにもなります。

今後、まだまだVR業界の市場は広がっていき、それに伴って美少女になる方法も簡単になったり、さらには多様性も出てくると思います。今こそ、あなたも美少女になるときです。

カヤックでは美少女になって勉強会を開きたい人を募集しております!

次回はのびーさんによるNetlify vs Firebaseのお話です。美少女化したのびーさんを想像しながら、楽しみにしてください!